今回はペットを取り巻く住宅事情についてお伝えしたいと思います。
ペットが人間にもたらす安らぎや感情の交流、コンパニオンアニマルとしての効用が理解されるに従って、集合住宅の中にペットと暮らすことを認める動きが広がってきました。
既存の集合住宅において飼育禁止の規定に反してこっそりペットを飼う人が増え、苦情を訴える住民との間のトラブルが発生する事態を受けてのことです。
そもそも集合住宅でペットの飼育を禁止する規定は、「建物の区分所有等に関する法律」において、「区分所有者の共同の利益に反する行為を禁止する」という第6条を根拠条文として定められたものです。飼い主にとっては家族同然のペットですが、糞尿の始末、鳴き声、臭いなどが近隣に不快感を与えるのも事実で、専有部分といえども共同の利益に反する行為をした部屋の所有者は、他の区分所有者によって使用禁止を請求される場合もあるのです。(同法 58条)
近隣住民に気兼ねすることなく集合住宅でペットを飼いたいという消費者のニーズに応えて、公団や民間のハウスメーカーの中にはペット飼育に対応した設備を持つマンションを販売する動きが広がってきました。ペットとの共生をテーマにしたこれらのマンションは、苦情の原因を取り除くために様々な設備が設けられています。
例えば共用部分には
1. 専用のグルーミングルーム
「シャンプー用シンク」「ドライヤー台」「ふん処理設備」「小物収納用ロッカー」
2. 足洗い場・・・・温水栓完備
3. リードフッカー・・・駐車場、自転車置場、メールコーナーなど数カ所に設置
4. 換気設備・・・・・・・エントランスホール、エレベーター内の臭い対策
5. ペット嫌いの人に配慮した2ヵ所のエントランス
そのほかエレベーター内にペットがのっていることを外部に知らせる表示など、ペットを飼っていない住人への配慮がなされています。
こうした設備はいわばハード面からペットとの共生を可能にしようという試みですが、ハードに頼りすぎてソフト面の対応、すなわちペットを飼う人のマナーと飼わない人への配慮を忘れないようにしたいものです。
ペットのための設備を持たない既存の集合住宅において、住民同士の度重なる話し合いと管理組合の努力によって、ペット飼育禁止という管理規約を改正した事例があります。
改正に至るまでの困難は想像に難くないのですが、結果としてペット解禁を可能にした背景には、ペット飼育負担金の徴収や許可制による飼育という厳しいルールを設けて、ペットを飼わない住民の理解を得るという姿勢がありました。このように住民同士がペットと共生するために知恵を出し合い、話し合いを重ねて双方の合意点を見つけることこそが真の共存を可能にするものと言えるでしょう。
立派な設備を備えたペット対応マンションは設備のメンテナンスにもコストが掛かります。ペットの習性に親しみ、飼育技術を向上させることで解決できる部分や、「ご迷惑をかけます」という一言で解決するトラブルもあるはずです。何事も費用対効果で考えてみましょう。また、販売するマンションに「ペット飼育可能」という目玉を付けることによって、利便性が劣るなどの不利な条件をカバーしようとする販売戦略があるかもしれません。
雇用不安が広がる現代、マンション購入に際してはペット飼育可、不可に関わらず、換金性、市場性の高い物件を選ぶ事が基本です。マンションそのものの価値を左右する立地条件、構造、管理、長期修繕計画も確認しておきましょう。
平成14年1月6日
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