Q&A1 98年 家計への提言この1年で“筋肉質”の家計に大転換!

【Q】  北海道札幌市に在住の岡田邦夫さん(会社員/50歳)。97年は地元銀行の経営破綻で幕を閉じ、身の周りにえも言われぬ不安感が漂っている。ビッグバンはいいけれど……。それでわが家が危機に見舞われることになっては困る。これまでは、あまり家計のことに口を出さない方針だったが、今後はやはり積極的に関わって行くべきなのだろうか。10年後に定年を控え、そうでなくとも募る不安を少しずつでも払拭して行きたい。

 【ドクターの診断】

押さえておきたい!
家計関連の主な諸制度改革
スケジュール

(●は年金制度改革関連、はその他

1997年12月  「論点整理」「選択肢」の公表
         年金白書(97年度)の刊行
         保険版「支払保証制度」骨格固める
         銀行「「間貸し方式」での投信販売開始

1998年1月  有識者への意識調査
     3月  有識者調査の結果公表
     4月  新外為法施行
         商品ファンドの預入額規制撤廃 
     7月  損害保険料率自由化
         銀行本位での投信窓販本格化
     9月  年金審が意見書とりまとめ
    10月  年金白書(98年度)

1999年1月  年金審、改革案を答申
     2月  通常国会に関連法改正案を提出
     4月  保険版「支払保証制度」導入

 これは私が20年以上も前から唱えていることなんですが、家計管理、というより「家計経営」(「経営」は「管理」よりも一段上位の考え方)というものは、何が何でも夫婦のそして家族全員の共同作業でなければなりません。夫が家計のことに口を出すのは“タブー”であるとか、男の沽券に関わるなどという考え方はそれこそタブーです。「家計のことは妻に任せっきり」という男性諸子は古い男の美学など捨て、いまこそ家計により積極的に関わってください。 「男は外で仕事に忙しく、家計のことなど構っていられない」という姿勢では、いずれ家計が危機に直面し、それこそ「仕事どころではない」などといった状態にもなりかねません。よくしたことに、今後は、24時間稼働のテレホンバンキングや土・日曜日の窓口業務など、多種多様の銀行サービスが登場します。帰宅後、夜遅くでも妻とじっくり話し合いながら、テレホンバンキングで外貨預金を利用したり、週末に夫婦揃って銀行に足を運び、いろいろと相談をしてみたり……。

  夫婦間のディスクローズが大切  いずれ、妻一人よりは夫婦二人の方ができることは多いものです。例えば、夫が家庭経営の手法の中に企業経営の概念を持ち込むことも有効です。企業の経営戦略、財務戦略と同じように、短期・中期・長期の計画をしっかりと打ち立て、予算と収支結果の管理を怠りなく行うのです。できれば、家庭の貸借対照表である「パーソナル・バランスシート」を作成し、金融商品の組み合わせやそれぞれの適用金利を定期的にチェック。家庭内の無駄や無理を防ぐためにも、これらの作業は欠かせません。わが家のバランスシートを眺めてみると、いろいろな矛盾が見つかります。

例えば、住宅ローンや個人向け無担保ローンなどの高金利を見過ごしておいて、一方で超低金利に頭を悩ませていたなどというのは、矛盾の最たるものと言えるでしょう。無論、夫婦や家庭で家庭経営を行う以上、いわゆる「簿外債務」の存在も見過ごせません。昨今の金融事情を概観してみても、いわゆる「簿外債務」の発覚により、結果、立ち行かなくなってしまった金融機関がいかに多いことか……。「妻の知らない夫の借金」「夫の知らない妻の借金」などは、後々、家計危機や夫婦断絶の遠因ともなりかねません。この際、きちんとディスクローズしておくことです。  そして、何より夫婦の協力体制が最も大きく家庭経営に貢献するのは、二人の情報力が一つになることです。ことにポスト・ビッグバンの時代は、とにかく情報力の豊かさが全てを左右することになります。

 一つには、ますます多種多様になる金融商品の情報。いよいよ銀行窓口での販売が解禁される「投資信託」は、一体どの金融機関の窓口で扱う、どの投信会社が運用するものがいいのか。人気の「商品ファンド」とは、一体どんな商品性なのか。それはどこで手に入るのか。インフレや物価上昇に対抗し得る金融商品とはどんなものか……などなど、取捨選択を図るうえで、情報は多いに越したことはないでしょう。夫婦が共に、互いの日常のなかで得られる情報を持ち寄って、より有利な運用姿勢を確立して行くことが、これからは求められます。

一人の目より家庭の目でチェックを

 いま一つには、金融機関の経営情報。巷問言われる「危ない金融機関」とは、一体どのようなところを言うのか。善し悪しを見極める基準はどんなところにあるのか。万一、金融機関が経営破綻した場合、どこまで資産が保証されるのか。金融機関側の経営情報開示が不十分と言われる昨今、わが家の資産を防衛するには、より多くの情報を総合的に判断するしか術はありません。例えば、経営危機情報というのは、全国紙や地方紙ベースではことがより確実になった段階ではじめて報じられるものです。早めの対応という意味からすれば、むしろ週刊誌や金融関係の雑誌、マネー雑誌、夕刊紙などによる“巷の噂”情報もまんざら軽視したものではありません。

 そして、新聞紙上では“この国の行方”に関する情報を見逃してはなりません。97年内に発表されることとなった年金制度改革に関わる「論点整理」は、わが家にどのような影響をもたらすこととなるのか。今後、どのような事前の備えが必要か。公的年金の給付額が事実上の切り下げを免れない以上、個々の家庭において内容の理解と自助努力が不可欠のものになることは間違いないのです。
 また、98年は損害保険自由化の事実上の元年でもあります。来夏あたりから、損保業界は大きく揺れ動き始めるわけですが、そうした動向や自由化のスケジュールからも目を離すことはできません。もちろん、4月から施行される「新・外為法」の影響などについても情報収集を怠りなく。

 さらに、大蔵省内の委員会で検討が続けられている生命保険会社破綻時の「支払い保証制度」構築について、近く、大方の道筋が示されることにもなっています。仮に、「定率方法」(他に「定額方式」が考えられる)の採用される公算が大となった場合、保険契約者はより一層、生命保険各社の経営状態に関心を寄せざるを得なくなるでしょう。こうした情報を入手する術は、日々の新聞記事を丹念に追って行くことより他にありません。
 一人の目より夫婦の目、そして何より家族の目が家庭を救う時代です。家庭が大きな不安を感じずに、ゆとりある暮らしを実現して行くためには「情報武装」が第一。そのうえで、タブーを排除し、夫も家庭経営に参加しながら、より計画的に“筋肉質”な家計を築いて行くことが大切です。そんな、ごくごく基本的なことが真に求められる時代がやってきました。