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Q&A1
家庭株式会社論が教科書に
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長野県上田市・杉本幸正さん(34歳・教師)以前、今井先生の講演を聞いて家庭株式会社論がとても印象に残りました。子供たちにお金のことを教えようとしてもどうしても表面的なことに終始してしまいます。こんど今井先生の持論が教科書に載るということですが……
問われ始める自己責任
銀行員から家庭経済の評論家に転じて四半世紀が過ぎました。遅すぎたけれど、初めて夢がかなったわけです。1999年度から採用される高校家庭科の教科書に持論の「家庭株式会社論」の基本的な考え方を執筆したからです。
これまで学校で教えていたのは、小学生にはお金やモノを大切に、という道徳的な教育。高校生にはだまされないテクニックを、といった対症療法でしかありませんでした。
家庭株式会社は、家庭を小さな株式会社であると見て、会社を伸ばす感覚で家庭を経営すれば家計もうまくいくという考え方です。金融機関はどう利益をあげているのか、利息の計算の仕方は、契約とはどういうものか、と具体的に教えることが必要です。
20年間勤務した都市銀行を辞めたきっかけの1つは浜松支店時代、住宅ローンを申し込みに来た主婦との会話でした。話を聞くと、夫の年収がいくらかもよく知らない。返済計画はまったく説明できないのです。
私から見れば、金融のノウハウをまったく知らないと映りました。生活に密着したナマの金融の話を伝えたい、と思うようになり退職に踏み切りました。このような転職は今では、そう珍しくありませんが、当時は第1号と騒がれました。
家計診断をしていて気になることがあります。私には専門外の「健康の不安」などを訴える人が増えていることです。 「家計のバランス」をチェックするために、相談者に800の質問をし「家族のふれ合い度」「消費堅実度」など8項目を100点満点で採点しています。最近の約500人の平均は家族触れ合い度が22点なのに、消費堅実度が80点を超え、極端なアンバランスになっています。
家計相談から見ても、国民に不安が広がり、財布のひもが異常に固くなっているということです。今はお金のことよりも、心の問題を解決するのが先決でしょう。
金融というものは冷酷そのものです。しかし、消費者の金融に対する理解のレベルは、昔の浜松の主婦と変わっていません。それなのに突然、ビッグバンという大海に放り出されたのです。
3年前、橋本前首相の音頭でスタ−トした金融ビッグバンも、昨年中に大半の法律改正が終了、今年から本格的な実施段階へと始動しました。よくも悪くも、自己責任を問われる年を迎えたことになります。
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