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aQ&A7 年金制度改革を契機に考える

 兵車県明石市在住の近藤英雄さん(四十九歳・会社員)。年金制度改革の年にあたり、明らかな給付水準低減の見通しに世の中は揺れているが、実際、我が家の場合はどつなるのか、そろそろ考えておきたいと思う。勤め先の定年は60歳。妻は5歳年下で、結婚以来、専ら家事に勤しんでいる。自分の年齢では65歳になるまで満額の年金が受け取れないと聞き、漠然と不安感がつのってきた。ちなみに、勤め先の企業年金制度は税制適格退職年金で、先輩諸氏の話しによれば退職時に一括受け取りする向きが大半と聞いている。

a▼制度に照らし、マネープランシートの作成を!

 先ごろ、厚生省が「年金制度改革案大綱」なるものを政府自民党に提出し、その内容から将来の年金制度の行方があらかた見え始めてきました。
 既に前回(5年前)の制度改革で、現行60歳から支給される「特別支給の老齢厚生年金」が段階的に廃止されることは決まっており、ご承知の通り、現在49歳の方であれば、60歳から64歳までの5年間は報酬比例部分のみがいわゆる「部分年金」として給付されることとなっています。

 この報酬比例部分は、年金受給者の「生涯の税込み収入の平均値」に加入年数と一定率を掛けて算定されます。この一定率は現行1000分の7.5となっていますが、今回の改革案では1000分の7.125に引き下げることを提案しています。その結果、2000年4月以降に新たに年金を受給する人から、報酬比例部分がこれまでより五%削減されることとなりそうです。さらに、働く世代の貸金の伸びを年金額に反映させる「賃金スライド」のシステムが2000年度以降凍結されることが確実となっており、そのぷん現行制度に比べ支給額は低減します。

 厚生省のモデルでは、現在49歳の方が(60歳から受け取れる年金月額はおよそ12万円余り。65歳以降は基礎年金(国民年金)が加わり、月収の合計は20万円余りとなります。近藤さんの場合、本人65歳時点では扶養する妻が65歳に達していないため、しばらくは加給年金がプラスされ、その後「本人70歳以降になると加給年金に代わって妻が基礎年金を受給するようになります。
 こうしたことを、いまから一枚の紙に書き記しておくことがまザ大切。夫と妻の年齢を横軸にとり、各年齢到達時点でどのような収入があるかを記入する「マネープランシート」を作成すれば、収入が不足しがちになる時期と大方の不足額が明らかになります。  ところで、企業年金である税制適格年金は、やはり一時金で受け取るおつもりでしょうか。そうした方が良いかどうかということも、マネープランシートのうえで検討することができるでしょう。

個人年金の利用、再就職、起業……れぞれの道

 さて、ここで明らかなことは、少なくとも60歳から5年間の収入は公的年金だけでは間違いなく不足するということです。収入不足を補う策には多様な選択肢があり、いまからそれ検討しておくことが必要となるでしょう。
 一つには、貯蓄や退職金を取り崩して不足分を補うという方法がありますが、あまり無計画に取り崩すとそのうち底をついてしまう恐れがあります。計画的に収入を得る方法としては、個人年金保険の活用という方法もあり、一定期間だけを補完するのであれば「有期型」の年金に加入するのも一手です。  ただし、個人年金保険への加入のタイミングはよほど慎重に検討することが大切です。いますぐに加入して今後十年間保険料を支払うのが良いのか、それとも定年間近になつてから、それまでに積立・運用した資金をもとに一括払いで加入するのが良いのか、いすれかを十分に考慮しましょう。

 そして、いま一つには60歳以降も働いて勤労収入を得るという方法があります。もちろん、その場合のの働き方にもいろいろ……。企業に正社員として再就職する場合には、再び厚生年金の被保険者となりますから報酬比例部分に関わる加入期間が長くなり、そのぷん65歳以降に受給する老齢厚生年金の額が増加します。ここがパート勤務で厚生年金とならずに収入を得る場合と異なる点です。
 また、近頃は定年後に派遣社員として活躍する人も増えています。既に、60六十歳以降は派遣先の職種に制限がなくなっていますから、自らの経験や能力を十分に生かすこともできるでしょう。派遣労働の詳細については、民間の派遣会社の他、公益法人の「高年齢者職業活用センター」などから情報を得るという方法が一つ。また、現在全国34カ所にある「高齢期雇用就業支援センター」では、これから定年を迎える人を含め無料で職業紹介や適正相談などを行なっています。今のところは、こうした制度やシステムがあるということを情報として持っておくだけでもいいでしょう。

 もちろん、一念発起して自ら起業するという道もあります。昨年10月には、財民法人ニューメディア開発協議会(東京)が、通産省の委託を受け「シニアベンチャー育成事業をスタートさせており、さらに通産省内には「シニアベンチャー研究会」が設置され、いまシニアベンチャーのための低利融資制度創設や退職金課税の軽減など、様々な支援策をまとめています。民間のコンサルタント会社や人材派遣会社などでもシニアのための企業塾、セミナー、研修会を催す動きが盛んになつていますし、一部の大学などでも社会人向けの起業講座を開設するところが増えてきました。

▼「人生二毛作」のために毎日を二倍生きる


 将来、起業するからには、定年してから準備を始めるのではなく、いまからすぐにでも準備に取りかかることが必要です。週末やアフターファイブの講座に通ったり、資格取得のために勉強の時間を自分で設けたり、これからは「一日を二倍生きる」工夫が必要となるでしょう。
 もちろん、何らかの資格を取得して独立するという道もありますが、起業するにしても資格で身を立てるにしても、それぞれの商売を成功させるために何より必要なのは、やはり広い人脈ネットワーク。勤め先企業内における人脈だけでなく、広く外の世界にも多くの人脈を築くことが人生を成功に導く鍵と言ってもいいでしょう。近頃は、主に若手サラリーマンなどが主催する様々な異業種交流会・同好会などに参加する中高年も増えています。そうしたことを通じて、同期の会社仲間と「帰りに一杯」、「週末にゴルフ」……だけでは築くことのできない貴重な人脈、社内外・老若男女を問わない幅広いネットワークがそこに広がり、後に大切な財産となることでしょう。  企業が定める「定年」は、自らの社会人生活の単なる中間点・中継点に過ぎません。
人生80年・90年を経済面だけでなく本当の意味で″豊かに″生きるためには、よく言う「人生二毛作」を実践することが現代人の常識。それを確実に実現するためには、現役である今のうちから、毎日をこれまでの二倍生きる工夫と努力が何より大切です。今の会社での生活も残りあと10年。これから何かと忙しくなりそうですね。