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社会保険・労務相談 高額療養費制度
   入院したら費用が戻ってくるって本当?

藤本写真  
藤本 昌史

 
IMI研究員
 社会保険労務士
  藤本事務所主宰


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高額療養費制度
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.入院費って高いですね。でも、入院したら費用が戻ってくるって本当ですか?

A.入院に限らず、通院でもある一定の自己負担額(以下 自己負担限度額)を超えた保険診療分について、申請すれば戻ってきます。
 
それが“高額療養費制度”と言われるものです。
 
加入されている健康保険(政府管掌、組合管掌、国民健康保険等→健康保険証の1ページ目の下のほうに保険者として書かれてあるところを見れば分かります)により自己負担限度額が変わる事がありますが、ここでは 政府管掌について説明します。

この制度は平成13年1月から変わりました

 旧制度では、低所得者(生活保護等を受けている人)と一般の2つの区分しかありませんでしたが、新しい制度では、一般の方について所得区分が2つに分かれ自己負担限度額のベースが変わり、自己負担限度額が一律ではなくなりました。(2、3参照)

■制度のしくみ

1.医療機関に支払った総額が対象ではないので 下記の点に注意してください。

 (1) 同一月(1月単位)に医療機関別、入院・通院別に計算します。
  
総合病院の場合は診療科ごとに別個の医療機関として、別々に計算します。医科と歯科も別々に計算します。

 (2) 高額療養費の対象となるのは、健康保険で認められる治療費に限ります。                        差額ベッド代、保険診療の認められない特殊薬品及び入院時の食事負担金などは対象外です。
  (領収書に保険診療分と保険適用外は、別々に計算されています。)

2.所得区分(3段階に分かれています)
 
             A:診療月の標準報酬月額が56万円未満の人
 
             B:診療月の標準報酬月額が56万円以上の人
 
             C:生活保護法の被保険者や市町村民税の非課税者等
  
     標準報酬月額は社会保険料の基礎となるものです。
 
ここでは難しい説明は省きます。

 A,Bを判定するには 診療月の翌月のお給料明細を見てください。
 
健康保険料の給与天引きが23,800円未満の人はAです。
 
23,800円以上の人はBです。(平成13年8月現在)

3.自己負担限度額の計算について

所得区分

自己負担限度額

63,600円+(医療費−318,000円)×1%

121,800円+(医療費−609,000円)×1%

35,400

 医療費とは保険診療の総額です。医療費算出については 後述の例をご参照下さい。

 【例】標準報酬月額が56万円未満(所得区分A)の鈴木さんが盲腸で 4/255/20まで入院しました。
    (自己負担割合・・・20%)
 
             4月の保険診療の一部負担金… 45,000円
 
             5月の保険診療の一部負担金…114,500円
 
                                                       総額159,500円
 
この例で高額療養費を申請できるのは 5月分だけです。
 
(4月分は 63,600円未満なので 計算するまでもなく 対象外です。)
 
5月分を申請すると いくら支給されるか(戻ってくるか)計算してみます。

 鈴木さんは 所得区分A、自己負担割合は20%ですので…
 
1.自己限度額=63,600円+(医療費−318,000円)×1%
   
                           63,600+(114,500×10÷2−318,000)×1%=66,145
 
             2.高額療養費支給金額 = 一部負担金 − 自己限度額
   
                           114,50066,145 = 48,355                                                                                       となります。

■支給申請手続き

 「健康保険高額療養費支給申請書」(用紙は社会保険事務所にあります。)に必要事項を記入します。

 添付書類:医療機関の領収書
 提出先:所轄(会社の住所地を管轄する)社会保険事務所
 高額療養費の支給申請は、原則、被保険者(本人)がする事になっています。

■世帯合算・多数該当など

 高額療養費には、その他に世帯合算や多数該当などがあります。
 
世帯合算:本人及び扶養家族が、同じ月にそれぞれの保険診療が月額30,000円(所得区分Cは21,000円)を越える場合、合算できます。
 
多数該当:高額療養の支給が1年以内に既に3回以上あるとき、4回目からは自己限度額が低くなります。
 
また、高額療養費はいくら早く申請しても、療養を受けた月から3ケ月程度しないと支給されません。その間患者負担を軽減する目的で「高額療養費貸付制度」というものがあります。
 
「高額療養費貸付制度」は高額療養費支給見込み額の8割程度を無利子で貸付けてくれます。詳しくは社会保険事務所にお問い合わせ下さい。

 高額療養費は、月ごとの申請になるため、上記の【例】のように月をまたがる入院の場合と、またがらない入院では、支給金額に差がでます。しかし、ケガや病気は突然やってきます。また緊急を要さない場合でも病院のベッドの空き状況により、都合良く、月の初めに入院なんて言ってられませんが・・・。でも、そういう制度であることは覚えておいてください。

     最後に一言…

 高額療養費の所得区分が変わったことに伴い、生命保険の医療保険についても見直しの必要な場合があります。これまでの医療保険は、1日当たり、3,000円〜5,000円が1つの目安でした。これは、自己負担額の63,600円の1日分、約2,000円を基準として考えられた金額です。今回の改正で、月額報酬56万円以上の方は、自己負担額がおおよそ倍になりましたので、医療保険の金額が少ない方は、検討してみる必要がありそうです。但し、多くの方は、複数の保険に加入しており、合計すると以外に入りすぎていることがあるようです。ご注意下さい・・・