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社会保険・労務相談 年俸制
Q 私の会社では、これまでの年功型賃金から業績型賃金へ移行するということで、来年4月から年俸制が導入される予定です。最初は部長クラスを対象とし、その後課長クラスにも広げていく予定の様です。年俸制というとプロ野球選手をイメージするだけでよく解りませんので、概略を教えて下さい。 A バブル崩壊後、企業業績の悪化に伴いリストラが叫ばれるようになり、人事・賃金制度についても変革が求められる中、年俸制に注目が集まるようになりました。 日経連の調査結果をみても、年俸制の採用率は平成8年が18.2%、同9年が20.1%、同10年が22.6%、と漸次増加しつつあります。労働省の調査では、平成6年が4.3%、同8年が8.6%、同10年が12.3%とうなぎ登りの増加です。企業規模で比較すると、大企業・中堅企業に比べて、中小企業の採用率は比較的低くなっています。 ○年俸制を採用する企業は、確かに増加していますが、現行の労働基準法は年俸制に関して全く想定していないことから、実務上もまた法的にも手探り状態で進められているのが実状です。それだけに、年俸制といってもいろいろな形態がありますが、代表的なものは次の通りです。 すなわち、年俸制とは年間給与が一括して決定されているようにみえますが、必ずしもそうではありません。確かに、成果や業績によって年俸全体を一括して決める「単一年俸制」を採用する企業もありますが、それは少数派です。一般的には、月例給与と賞与の二つの部分から構成されるという既存の仕組みを踏襲した「複合年俸制」の形態がとられます。この「複合年俸制」の最も重要な特徴は、年俸が安定的な部分と、業績によって変動的に決定される部分の、二つの給与要素から構成されていることであり、前者を「基本年俸」後者を「業績年俸」と呼ぶことにします。こうした基本年俸と業績年俸の組合せは、月例給与と賞与の二つの部分から構成される既存の賃金構成を踏襲したものであり、おおむね基本年俸7対業績年俸3の構成になっており、これを従来型の給与形態でみると、業績年俸は5ヶ月分の賞与に対応する金額になります。 基本年俸部分は保障しつつ、個人の業績に応じ、業績年俸部分を調節できる日本型年俸制は、欧米型やプロ野球選手型に比べ中途半端な形ではありますが、従来の年齢・勤続をも要素とする積み上げ式の年功序列型の矛盾を解消しつつ、人件費の絶対額管理を可能にする点が、年俸制のメリットといえます。 ○日本型年俸制の特徴 ・既存の会社で年俸制を採用する場合、従来よりも賃金が減額する可能性が強いため、「労働条件の不利益変更」にあたることから、原則として労働者個人あるいは労働組合の同意が必要となります。 ・通常、管理職等が対象とされるが、雇用期間は当初の通り期間の定めのない契約として維持され、賃金のみを年俸制として年単位で決定する形をとることから、雇用の継続と賃金の決定が直結していません。 ○自分の業績が悪いと年俸は下がるのか 労働省の調査によれば、年俸制の上限・下限を設定していない企業が多くなっています。 特に、導入間もない企業は、当分減額をしない場合が多く、減額するにしても、小幅にとどめている。「賃金の減額」は余程の理由がない限り認められていないため、労働者との十分な話し合いが必要であり、特に、公正な評価プロセスを制度的に整備すると同時に、評価結果の開示方法を定め制度の透明化を図る必要があります。 |