このホームページはIE4.0以上のブラウザでご覧ください
     社会保険・労務相談   賃金カット
藤本写真  
藤本 昌史

 
IMI研究員
 社会保険労務士
  藤本事務所主宰


専業主婦の年金
高額療養費制度
教育訓練給付
年俸制
賃金カット

長引く不況により、私の会社も業績が思わしくなく、リストラをするようになり、希望退職が募集されました。そればかりでなく、会社に残った者に対しては、賃金を10%から20%カットするといわれ、一方的に給与が削減されてしまいました。確かに会社の業績は悪いようですが、私たちにはどの程度悪いのか解りません。このような状況で、給料を一方的に削減することはできるのでしょうか。また、削減された分を会社に請求して取り戻すことは可能でしょうか。

大規模な金融機関等の合併に加え、つい先日は「日産」が衝撃的なリストラを発表し、今や人員削減、賃金カットは当たり前で、労働者はそれに従う他ないと言う風潮が定着したかのようであるが、果たしてそうでしょうか。

賃金や労働時間等労働条件の決まり方は、次の3つに分けられます。
@使用者と労働者との話し合いによる個別労働契約によって決まる場合
A使用者が制定する就業規則によって決まる場合
B使用者と労働組合との間の労働協約によって決まる場合

Bの場合は、真に使用者と労働者が合意したのならばなんら問題が生じません。

 Aの場合

就業規則の制定権者は使用者であり、その就業規則を通じて「賃金減額」を行う場合、すなわち使用者の一方的な賃金の不利益変更が労働者に効力を及ぼすのかどうかが問題ですが、この問題については、次の通りの結論が出ています。就業規則を制定・変更するのは使用者ですが、賃金・退職金等の労働者にとって重要な権利・労働条件に関して実質的な不利益を及ぼす変更(不利益変更)については、その不利益が労働者に受認させることを許容できるだけの、「高度の必要制に基づいた合理的な内容」でなければならない、と言うことです。そしてその高度の必要性はかなり厳格(会社側に厳しく)に解釈されています。

 Bの場合

労働組合があり、使用者とその労働組合との間で賃金減額の労働協約が締結されている場合は、その協約に拘束される。個人の意志よりも協約の内容が優先されます。(労働協約の規範的効力)ただし、労働協約は原則として組合員にしか及びませんが、例外的に事業場の同種の労働者の4分の3以上が一つの協約を締結した場合は残りの4分の1の労働者も拘束されます。(協約の拡張適用)

結論

(1)労働協約がある場合(4分の3以上の労働者が加盟する労働組合との労働協約)
 
賃金減額の労働協約を締結されていれば、その内容に従う他ありません。

(2)(1)以外の場合
 
賃金減額をしなければならないほどの「高度の必要制に基づいた合理的な内容」がその会社にあるかどうかで決まります。今回の質問の場合では、会社の業績がどの程度悪いのか、労働者の不利益の程度(賃金カットの額とその期間)、充分労働者側と話し合いを行ったか等々が総合的に判断されます。その最終的な判断は、裁判所が行うことになりますが、その前に、最寄りの簡易裁判所に「調停」を申し立てることをお勧めいたします。費用は、請求金額によって異なる手数料(収入印紙代)だけですので、わずかで済みます。