Q&A10 ゆとり償還
廃止問題
ここ十数年、家計診断に寄せられた内容を点検してみると,住宅関連の問題に相談が集中していることがわかります。
「ローンの負担から早く解放されたい」「8月から公庫のゆとり償還が期限切れとなり返済か大幅にアップするが,どうしたらいいのか」「借り換えをして金利を下げたい,トクする返済方法はないか」「担保われ住宅ローンを何とか処理できないものか」。
こうした相談者の最大のニーズに対して,銀行はなかなか対応してこなかったことを証明しています。住宅ローンの返済難は今や,社会問題となっていいます。
とりわけ,1993,94年度に住宅金融公庫からゆとり償還で借り入れた人は98年7月ころから返済額が急増しました。何とか対策を急がないと家計破綻につながりかねません。
通常のゆとり償還は,最初の5年間の返済額を返済期間50年と仮定して計算します。しかし政府の景気刺激策の一環として住宅取得促進もあつて,93・94年度については,返済期間75年で割り出す仕組みになっていました。5年間の返済に余裕を持たせるためですが,6年目からはそのツケが回ってきます。人によっては従来の返済額の1・5〜2倍にもなる。最近はゆとり償還を利用する人か少なくなりましが,93,94年度の2年間だけで利用件数は71万件にのばります。
こんなに多くの人のローン負担が98年の秋口から99年にかけて大幅アップしています。住宅ローン契約を事業者任せにしているケースが多く,本人が知らないでゆとり償還扱いになっているケースも多数あるので,いち早く確認することが必要です。
東京都内に住む太田氏(仮名)は94年2月,ゆとり償還を利用して公庫から20年間で1千万円を借り入れました。当初5年までの毎月の返済額は3万2530円だったので,らくらく返済が可能でした。ところが最近になって公庫からゆとりの期限が過ぎたので,毎月の返済額を7万1223円にしてほしいとい、通知がきた。太田氏の驚きは尋常ではありませんでした。
というのも,6年目からはなんと当初の5年間より2.19倍にも跳ね上がったのです。借り入れ当初は,まだ勤務先の会社も,不況の影響もあまり受けていなかったので,残業もほどほどあって返済に支障を感じることは一度もありませんでした。しかし今後会社の業況見通しは楽観できず,途方にくれているのが現状です。とりあえず太田氏には,ゆとり償還利用者に対する救済措置(ゆとり返済期間を10年まで延長できるなど)があるので早急に公庫の窓口に相談してみることを勧めました。
●ステツプ返済方式(ゆとり返済)
住宅金融公庫では,「ゆとり返済」と呼んでいます。最初の一定期間内は,返済額を少なくして,一定期間を過ぎると、その分返済額を増やす方式です。ゆとり返済では、当初5年間は50年返済で計算した返済額,6年目以降は完済を予定している残りの期間で計算した返済額となります。
〈メリット)
将来の収入増加か見込める人は,当初返済負担を減らし,収入が増加する時期に返済を増やすことができる。
〈デメリット)
一定期間経過後の返済額が増えるから,収入が予想通り増えなかった場合には,返済負担が重くなる。
●「ゆとり償還」は廃止
建設省は2000年度から住宅金融公庫の融資制度を抜本的に見直し、改革案をまとめました。(表参照)
その中で住宅ローン破たん者の急増に拍車をかけ.る恐れのある「ゆとり償還制度」は来年度以降の新規融資から廃止が決まりました。
| 受託公庫改革案の骨子 |
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●新築住宅の返済期間を最長35年に一本化
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●ゆとり償還制度の廃止
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●完済時の年齢を80歳に制限
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●中古住宅の購入資金融資を新築並に
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●住宅ローン債権の証券化など資金調達手段を多様化
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