特別寄稿   Contemporary China (中国の今
− 変貌する都市部若者のライフスタイル −

 北京での2008年オリンピック開催決定、長い間の懸案であったWTOへの加盟など、大きな国際的な話題で、今年の中国は大きく盛り上がっています。今日は、変貌を遂げる中国の今をお伝えしたいとと思います。上海や北京、大連といった都市部は、ここ数年で、大きく発展しました。北京に住む私たちでも、建設ラッシュに沸く街を歩いていると、つい最近まであったレストランが取り壊され、建設現場になっているなど、道に迷ってしまうことがあります。

 今、若いサラリーマンの最大の関心事は、住宅取得です(ただし、子供のいる家庭では、子供の教育が支出面での最優先事項となります。小学生の頃から、英語を習わせたり、楽器を習わせたりすることが、多くの家庭でなされるようになってきています。一人っ子政策ですから、特に子供の教育に力が入ってしまう面もあるかもしれません。大体中国の夫婦は共働きですから、子供の世話は、おばあちゃんやおじいちゃんが世話することが多いようです)。

 私の周りでも、最近住宅を購入した人はたくさんいます。特に30代のサラリーマン世帯の住宅取得ブームには、熱いものがあります。いくつかの原因があると思いますが、従来の国有企業では、労働者に対して、企業が責任を持って住宅を提供してくれていたのが、政策の変更により、勤労者が自分で住宅を求めなくてはならなくなりつつあること、銀行が住宅ローンを用意するなど、住宅を買いやすい環境ができつつあることなどが大きいと思います。ここ北京でも、分譲マンションの販売が相次ぎ、オフィス街からの通勤に便利なロケーシーョンで人気を博している「SOHO現代城」などでは、1平米紙10,000人民元(1人民元は約15円)といった販売価格がつけられています。

 このようなマンションを購入する場合、多くの人が、建設銀行や工商銀行といった国有銀行の住宅ローンを活用しています。これらの銀行は、従来は、主に国有企業向けの政策的な融資を行っていましたが、その結果、不良資産が山積みとなり、優良資産を探して熱心な貸出先探しを行っています。この中で、伸びてきているのが、個人向け融資、特に、住宅ローン融資なのです。「[SOHO現代城」の間取りが、約100平米だとすると、購入価格は100万人民元。それに、税金や諸費用が数万元といったところでしょうか。このうち、80%までを建銀や工商銀から融資を受けられるのです。融資期間は最長で80年、金利は、一般的には、5%台から6%といったところのようです。
 ところで、中国の分譲住宅は、購入しても、インテリアは何にもついていなくて、丸裸の状態で販売されます。このため、マンションを買った人々は、思い思いのインテリアにこることになります。そして、そのための支出、数万元も予め織り込んでおく必要があります。北京に開店した北欧系の家具・インテリアのお店「lKEA」は、このような住宅ブームに乗って、週末は大盛況となっています。

 中国での乗用車の需要といえば、これまではほとんど、政府部門の幹部用の車か、タクシー用でした。このため、一昔前は、運転手という職業は、結構特権的な職業だったといいます。ところが、最近は、個人用のいわゆる自家用車が、爆発的に売れるようになってきています。中国で生産されている車は、上海で生産されるアメリカのGM、同じく上海のフォルクス・ワーゲンが、中国人によく知られています。最近では、広州のホンダが販売しているアコードも高い人気を博しています。実際には、自動車メーカーは、全中国に130社もあるそうです。中国のWTO加盟で、自動車輸入にかけられる関税が引き下げられると、国内メーカーは激しい淘汰の波にさらされると予想されています。その一方で、政府の予想によると、自動車の販売台数は、今後数年間で、倍増し、2005年には、120万台規模になると見られています。

 中国は、もちろん発展途上国ですが、典型的な発展途上国のイメージとはかけ離れている面がいくつかあると思います。そのひとつは、中国では、今、物不足は解消されむしろ、「物余り」の状況が続いていることです。これは、農作物ばかりではなく、家電製品などの工業製品にもいえることです。このため、特にテレビなどの分野で、長江電子、TCLなど、中国を代表する電機メーカーが、外資系メーカーとともに、熾烈な価格引き下げ競争をやっています。中国では、年に3回、1週間の休暇があります。春節(1月から2月)、労働節(5月)、国慶節(11月)ですが、これらの休みを設けているのも、工場を休ませて、過剰な供給を調整するとともに、人々の消費を促進することにねらいがあるといわれています。消費促進のための政策は、いろいろな面に出てきています。たとえば、今、中国では、猛烈な勢いで、外国のスーパーなどが進出してきています。ここ北京でも、フランス系カルフール、日本のイトーヨーカ堂などがすでに進出し、今度は、米国系ウォールマートの進出が決まったようです。私の職場のある国貿大厦の地下には、大きなショッピングモールがあり、一流ブランドのショップが軒を並べて、まるで香港のようです。また、中国では、最近、じょじょに海外旅行の制限が緩和されてきていることから、海外旅行熟も盛り上がりつつあるようです。

 賭け事は、中国では、禁止されています。その代り、ということではないのでしょうが、株式投資熱が、近年、盛り上がっています。中国に株式市場が設置されたのは、1990年の上海証券取引所が最初。翌年、深せんにも証券市場が開設されました。以来、10年余りで、上場会社は、1,000社以上、時価総額は5.3兆元となり、アジアでも,香港市場をしのぎ、東京市場に次ぐ規模に急成長しました。特に昨年(2000年)は、上海市場総合指数が51.7%の伸び、深せん市場総合指数が41.0%の伸びと、世界の主要な株式市場の中でもっとも好調なパフォーマンスを記録したこともあり、大きな注目を集めました。年7.8%で成長している経済ですから、長期的には、株式市場も好調を記録することでしょう。私も、少し、中期的な視点で「財テク」(中国語では、「理財といいます)株式投資をはじめてみようと思っているところです。

 なぜなら、銀行預金をしても、1年ものの定期預金で金利は、2.25%。日本と同じで、超低金利なのです。ただし、中国の株式制度は複雑で、最近まで、上海市場と深せん市場は、私たち中国人が、人民元で投資ができるA株市場と非居住者が外貨で投資をするB株市場に分かれていました。同じ会社の株がA株市場とB株市場に上場している場合もあり、そのときも、価格が違ったりしていて、「一物一価」となっていないなど、市場メカニズムがまっとうに働いていないとも思われる状況でした。今年になって、B株市場でも、外貨での投資ができれば中国国内の中国人でも投資ができるようになり、B株への中国人の投資が解禁されるなど、「一物一価」が成立する方向に向かっているようです。

 それでも、非流動株の比率が多いことなどから、株価の変動は、必ずしも企業業績を反映したものでくちないといわれ、銘柄の選択は、素人にはかなり難しいものとなっているようです。そこで、私たち、素人で、かつ、中長期的に中国株に投資しようと考えている人々の強い見方になりそうなのが、オープンエンド型の投資信託です。国内最初のオープンエンド型打投資信託「華安創新」が、去る9月に、交通銀行の窓口を通じて販売されました。最近は、市況が不調なので、この投資信託の販売も当初見込みほどではなかったようですが、今後の有力な投投資の手段に成長していくのではないでしょうか。株式市場の動向は、中国の国有企業改革や社会保障制度改革などとも密接にかかわることになるといわれ、政府としても、市場の整備に力を注いでいるところです。
 国有企業改革や社会保障制度改革、WTO加盟に伴う競争の激化、貧富の格差の拡大など、問題はたくさんありつつも、明るい将来展望を抱いてがんばっている。それが、中国の都市部の若者たちの今の姿です。