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お葬式 --誰しも避けられないライフイベントへの備え− Q 長男夫婦と同居していますが、私も妻もすでに80歳をこえています。どうにか二人とも元気で嫁の世話にならずに身の回りのことは自分で出来るのですが、万が一の事を考えると不安です。死後についての何かアドバイスがありましたら……。 A 老いと死はどんなにしても避けられず万人にやって来るというのなら、いっそのことこちらから前向きにとらえてみてはいかがでしょうか。人生設計の中で重要なイベントとして、家族中で真剣に話し合う機会を持つことも無意味なことではありません。 友人のAさんはいつも家族に対して自分の死後についてしっかりと伝えていることがあります。現代の人生選択はさまざまです。いままでの常識や古い固定観念などにとらわれない生き方が増えてきています。定職をきらう若者、所有権を避け高額賃貸マンションを住み替えるビジネスマン、結婚を望まない男女、子ども欲しがらない夫婦、他人のことを一切気にしない家族など、でもどんな生き方を選択しても誰しも避けては通れないものは老いと死というライフイベントです。Aさんが家族に伝えている内容は自分が死んだあとの「葬儀」のことなのです。つまり自分の葬儀は「散骨葬」にしてほしいという遺言なのです。彼は高齢化社会にあたって日ごろから人生は死からさかのぼって考えるべきだと主張しています。ベストセラーとなった栄六輔さんの「大往生」は死にまつわる思いや心構えについて、有名な宗教家や僧侶、著名人の言葉を取らず、もっぱら市井の中からこれはという珠玉を拾いあつめたのが人気の秘密のようです。 今年のお墓参りはいかがでしたか。最近はAさんのように散骨などの自然葬やロッカー型の納骨堂、遺骨7グラムを1.5×4センチメートルのカプセルに詰め衛星でうちあげる「宇宙葬」などが注目されて、お葬式やお墓参りに対する意識は着実に変化しつつあるようです。しかし、人生最後のイベントにお金がかかるという現実は変わりません。 さて、最も大変なのがお金の準備。葬儀費用には定価というものがありません。地域、習慣、宗派、経済力に応じてさまざまです。 サラリーマンの場合は月収の3倍程度を葬儀費用として準備しておくとよいでしょう。他に謝礼金や会葬者への接待費(通夜振る舞い)などをふくめて、150万程度が一般的な葬儀費用のようです。ただし、この費用には読経料や戒名料は含まれないし、ほかには墓地、墓石、仏壇などが必要になり、この費用はまさに千差万別。下限はあっても上限はないといってもいいでしょう。 預貯金などの遺産があれば、当面の費用はしのげますが、あればあったで財産分与をめぐるトラブルも急増しています。こんな背景からか、心置きなく旅たてるようにと公正証書遺言などを作成する人が増えていることも事実です。バブル期の土地などの資産価格上昇の体験からか、相続する側の権利意識が強くなったため、後に争いが起こるのを避けるための知恵でしょう。死について考えることは同時に今をどう生きるかの裏返しでもあります。別表をご覧ください。(公益社資料〜東洋経済人生のマネー学) お葬式の明細表によると@葬儀基本セットA寝棺B遺影C防腐処置E車両費用E式場使用料F火葬費用G返礼品H飲食費用などI供花・供物など具体的に内容がかかれています。まさにさまぎまなお金の掛け方があるようです。確かに人生最後のイベントにお金がかかるという現実は否定できません。女性の場合は、身内が亡くなった場合は裏方として、夫が亡くなった場合は喪主として、何かと忙しく手配や手続きに追われ、悲しんでいる暇もないというのが経験者の感想のようです。今後、お葬式の在り方が多様化することは必然です。この方式にしなければならないと、決めてかかる必要はありませんが、誰にでもやって来る死について、生前に家族で話し合う習慣を身につけることも決して無駄ではないと考えるのですが。
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