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NO127
2009/3/10掲載
 痔とさよならするために
痔って、何? 

▼痔核は静脈のうっ血が原因
▼肛門の清潔を保ち、便をラクに出させる
 
佐藤博文先生 

鎌倉ヒロ病院消化器外科医師
鎌倉市材木座1−22−29
TEL0467−24−7171
   

 
 

 痔主などという言葉があるように、痔で困っている人は多いのですが、あのモコッと出るおできのような痔の正体は。
A  それは痔核といいまして、いわゆるいぼ痔です。
  本来は肛門を閉じるクッション(水道の蛇口のゴムパッキン)のような役割を果たしていますが、痔核内の血管の血が滞って腫れたり、出血したり、その痔核を享見る組織が弱くなって肛門の外に出てきたものです。
  痔核はいわば循環障害ですから、若いうちは軽くて40代くらいからが一番多く、治ることはありません。この痔核は、痔の病気の過半数を占め、発生する場所によって内痔核と外痔核があります。
同じ痔核でも内痔核と外痔核の症状の違いを肛門の仕組みでお話しすると、肛門は肛門管という管で、直腸と肛門の皮膚が持ち上がってつながっています。そのつなぎ目(歯状線)の内側にできるのが内痔核、外側にできるのが外痔核です。
内痔核は直腸の粘膜(痛覚神経が通っていない)にできるので進行しないと排便時の出血だけで痛みはないのですが、直腸粘膜ごと歯状線を超えて脱出(脱肛)するようになると外痔核も一緒に起こり痛みも出て、指で押し込んでも戻らないほど進行します。
内痔核の方が外痔核より圧倒的に多く、普通、痔というとこの内痔核を指します。
外痔核は、肛門の周囲の細い血管の血が止まって固まり、血栓をつくるもので、腫れて痛みと出血を伴います。
 

 便秘で排便の後出血するのは。
A 硬い便を力んで出す時肛門の皮膚が裂ける(裂肛)、きれ痔ですね。出血はトイレットペーパーにつく程度ですが、排便の後もしばらく痛みが続きます。
  処置は、清潔にしお薬をつけて、便がラクに出るようにして慢性化させないことが大事です。長引いて肛門ポリープや潰瘍ができると肛門が狭くなってますます便が通りにくくなり、傷もひどくなって、痛みも続きます。
  若い人は括約筋がタイトなので、裂肛しやすいのですが、年をとると筋肉がゆるくなるので裂肛は減ります。しかし、逆に筋肉がゆるむと肛門もゆるむために直腸脱などが起こりやすくなりますね。

 男性に多いといわれる痔療というのは。
A 痔癖の痕はばい菌の通る道という意味なんです。歯状線の小さなくぼみに大腸菌などが入り込み、感染して肛門の周りにウミがたまって直腸、肛門とつながったウミの管ができたもので、出口がふさがると痛みと熱が出ます。
  これは、複雑に拡がるので手術も難しいし、再発率もちょっと高いですね。
  以上は、痔の三大疾患といわれるものですが、問診票などの記載で医者はどういう病気なのかだいたい見当がつきます。

 治治療法としては、基本的には手術ですか?
A 痔はがんなどと違って、命に関わるような病気ではないので手術適応であっても強くはお勧めしません。手術を行う患者さんは全体の1〜2割程度です。
  手術の後遺症としては、便意がにぶくなるとか、便が少し細くなったりします。また、術後1ケ月位はしまりが悪くなるなどがあります。毎日、お通じが通りますから、きれいに肛門を洗うなどして順調にいけば2週間程度で治ります。

 手術は、入院して行うのですか?
A 内痔核で3箇所を切るとすると、手術時間は30分〜45分ぐらいです。当院の場合、手術は午後から行いますので、麻酔(半身)がさめるのが3時間くらいかかります。麻酔がきれると創痛(その程度は人によってさまざまです)があります。お小水が出なくなったりなど何かあると心配ですから、泊まっていただいて翌日帰られる方が多いですね。
  理想としては、傷が治るまでの2週間くらい入院されたら、肛門の衛生も、安静も、食事療法も管理できるのでベターです。まあ、こんなご時世ですからそんなにのんびりはしていられないでしょうけどね。
 
     
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